シンシナティの生活(その4)〜プライム・リブ編〜


6ポンドのプライム・リブ!




 今回は、趣を変えて「料理教室」編です。岡本さん宅で2度ご馳走になった
「プライム・リブ」の味が忘れられず、帰国前に奥様のテルマさんに
作り方をご指導頂く事になりました。その様子をレシピ風に紹介していきます。


0.プライム・リブって?
リブロース肉を使った、ローストビーフの一種だと思われます。
リブロース肉とは、「最も厚みのあるロース部分で、霜降りが入りやすいところ。
肉質は柔らかく、ローストビーフやステーキに向いている」そうで、
肩ロースとサーロインの間の背中側の肉のことを指すようです。
(右記参照 牛さんのお肉の名前
4〜10ポンド(1.8kg〜4.5kg)の巨大な肉の塊をオーブンでじっくり焼くだけですので、
一見簡単に見えますが、その実、大変根気のいる料理です。
調理時間 3.5〜4時間(下ごしらえ含む)
量の目安 1人当り0.5〜1ポンド程度。骨付きなのでやや多めに 
カロリー こういうときは気にしない
費用 アメリカでポンド当り$10


それでは以下、作り方を紹介していきます。


T.用意するもの
ロースト・ビーフですので、基本は肉と調味料だけです。
今回の肉は6ポンド(6〜7人分)です。
リブ・ロースト
お肉屋さんで「骨付きリブ・ロースを○ポンド」と頼んで下さい。
アメリカでも店先にはあまりなく、頼んで切ってもらいます。
最低でも4ポンドくらいあると上手にできるのではないでしょうか。
ちなみにお値段は、今回買ったMeijerでは、ポンドあたり$10。
アメリカでは決して安い部類ではないと思います。
コショウ・オールスパイス・にんにく
いずれも「適量」用意します。結構たくさん使います。
にんにくは5mm角×2cmくらいに刻みます。
オールスパイスは何が入っているかよくわかりませんが香辛料らしいです。
コショウはかなりたくさんかけるので、粒コショウを挽くタイプより、
サッサとかけられる既に挽いてあるもののほうが楽だと思います。
しょうゆ
別にキッ○ーマンである必要はありません。
しょうゆも結構な量使います。今回はコーヒーカップ1杯使いました。
黒ビール
目的はよくわかりませんが、焼いている最中に10分置きに
ハケで表面に塗ります。柔らかくするため?旨みを出すため?
普通のビールではなく、黒ビールがいいようです。
バター
ソースに使います。お好みで有塩/無塩をお使い下さい。
ビーフ・ブロス
ビーフ・ブロスとは、牛肉の肉汁、ダシといったもののようです。
アメリカでは缶詰で市販されていますが、日本ではないかもしれないので、
その場合ビーフコンソメを使えばOKとのことです。



今回の弟子、ワッキー君 ママ、何が始まるの?
心配そうなカービー少年



U.下ごしらえ
特に難しい作業はありませんが、肉を寝かせるのに時間がかかります。
1.肉を取り出す
まずにんにくを刻んでおいてから、肉を取り出します。
(今回の先生、岡本テルマさん。プライム・リブ歴20回以上)
2.肉に切れ目を入れる
取り出した肉に、包丁で切れ目を入れていきます。
ルールかどうかはわかりませんが、今回は、肉をスライスする方向に対し、
ななめに包丁を入れていました。
均等ににんにくを刺せるよう、まんべんなく全面に切れ目を入れていきます。
包丁の先を突き刺して穴を開けるような感じです。
3.にんにくを刺す
包丁で切った切り目に、にんにくを刺していきます。
1ヶ所毎の数には特にこだわらず、まんべんなく刺しましょう。
4.しょうゆを塗る
にんにくを刺し終わったところで、次はハケでしょうゆを塗ります。
しっかり味がしみ込むよう、慌てずじっくり塗ります。
5.スパイスをかける
しょうゆを塗った面に、スパイスをかけていきます。
ある面にしょうゆを塗ったらその面にスパイスをかけてから次の面、
という風に進めましょう。スパイスがしょうゆを吸って垂れません。
順番は、コショウ→オールスパイスの順にかけます。
特にコショウは肉を全面覆うようにしっかりかけましょう。
尚、最後に上になる面は、ここではまだスパイスをかけません。
6.肉を寝かせる
5の作業が済んだら、1〜1.5時間、調味料がしみ込むよう肉を寝かせます。
この日は20℃くらいありましたが、常温で置いといてもいいみたいです。
くどいですが、まだ上の面にスパイスをかけてはいけません。
寝かせている間に、気が向いたら残りのしょうゆを上の面に塗ってあげましょう。
6.下ごしらえ完了
1〜1.5時間寝かせると、肉の色が黒っぽく熟成?してきます。
こうなったら、最後に残りのしょうゆをかけ、スパイスを上の面にかけます。
焼く心構えができたら、オーブンを350℃で予熱しましょう。


V.焼く
これも決して難しい作業はありません。しかし、
「なーんだ、あとは焼くだけで簡単じゃん」と思っているあなた、
焼いている間も「手がかかる」のがプライム・リブです。根気よくいきましょう。
尚、今回の焼き加減はミディアム〜ミディアム・レアです。
1.黒ビール
350℃でオーブンを予熱している間に、黒ビールを用意しましょう。
しょうゆを入れていたコップとハケをそのまま使います。
コップにビールをあけて待ちましょう。
ちなみに今回は、約250mlを1本使ってしまいました。
2.焼く!
予熱が完了したら肉をオーブンに入れます。
350℃で、時間の目安は今回の6ポンドで約1.5時間。
4ポンドの小さいものなら1時間、10ポンドなら2.5時間といった具合。
そしてここからがめんどいところ。
10分毎に、黒ビールをハケで肉の表面に塗ります。
焼きあがるまでずっと10分置きです。ずーっとです。
タイマーをかけて管理しましょう。忘れてはいけません。
外でのんびりたばこなんて吸ってる場合じゃありません。
ちゃんと10分毎に忘れず黒ビールを塗りましょう。
3.焼き上がり
ひたすらビールをかけ続けること約1.5時間たったら、
肉の中の温度を計りましょう。130F前後だったらOK。
それ以下ならさらに焼きましょう。
4.仕上げ
時間よし、温度よし、見た目よし、なら出来上がりです。
最後に残ったビールをもう一度かけて仕上げにちょっと焼きしましょう。
5.出来上がり!
これで出来上がり!
お皿にとると、赤い肉汁が少し出るかもしれませんが、
ミディアム〜ミディアムレアならばそれで大丈夫です。


W.ソース作り
次はソース作りです。肉から垂れた汁を使って、ソースを作ります。
1.肉汁を取る
まず肉を皿に移します。次に肉を焼いた時の受け皿から
肉汁を取るのですが、その前に浮いた油は流しましょう。
油を流したら、おこげをスプーンでこそげ落とします。
これが「スープの素」です。
2.ビーフ・ブロス
こそげ落とした肉汁をソースパンに入れて火にかけます。
そして、ビーフ・ブロスを適量、バターを適量入れます。
「適量」とあるところは、ご自分の好みに合せてください。
味が濃ければビーフ・ブロスを足します。
3.ソース完成!
中火でしばらく煮立てたら完成です。
煮詰めるとか、とろみをつける、ということはありません。


X.食べる!
何も言うことはありません。牛さんと調理人に感謝して食べましょう。
1.切り分ける
「骨付きリブ」ですから、まず骨と肉を切り離してしまいましょう。
そして、お好みの厚さに切っていきます。
意外と中までしっかり味が染みていますので、ソースがなくても
食べられますが、せっかく作ったのだからかけましょう。
表面はコショウ・しょうゆ辛いと思われるかもしれませんが、
特にそんなことはなく、おいしく食べられます。
2.付け合せ
何でもいいでしょう。ごはんも野菜も何でもススム君です。
わさびをつけるとさっぱりしておいしいです。

子供たちも大喜び!!
したかどうかはわかりませんがご機嫌です。
不安気だったカービー少年も、ケンリー兄貴と一緒に
満点の笑顔です。

岡本夫妻と、いつものムサ苦しい仲間たちです。
岡本さん、テルマさん、いつもありがとうございます!(一同)




このレシピページを、作り方を教えてくださったテルマさんと、
同じく作り方を習いたい!とおっしゃていた三浦さんの奥様のお二方に、
いつものおいしい食事のお礼として捧げます。


おまけ
僕、ケンリー。
カービーの兄ちゃんだよ!