函館旅行記('02.3.1〜3.3) B
9.函館洋館めぐり@
翌日は、少し天気も持ち直し晴れ間が見えるまでに回復した。この日はA君と別行動で函館探索を楽しもうということになり、
私は西から函館の坂、洋館、ベイエリアを見た後、東端の立待岬方面へ向かうことにし、A君は逆のコースをたどることにしたようだ。
朝市食堂で軽い朝食を済ませた後、天気の回復した函館港をしばらく散策した後、路面電車で「基坂(もといざか)」へ向かう。
坂の中腹には旧イギリス領事館、坂の上には旧函館公会堂があり、函館山をバックに見下ろすと、ベイエリア、函館港が一望できる。
旧函館公会堂は、市民の集いの場として活躍してきたが、明治40年に一度消失。再建資金として豪商相馬氏が当時の金額で5万円を寄贈して
再建されたそうだ。何とも豪気な話である。明治44年には、明治天皇の宿舎として利用され、当時の寝室の様子や、厠等も再現されている。
建物の外観は黄色の柱と白い壁が美しく、函館の町を見守るように建っているその様子は、町のシンボルと言うにふさわしいたたずまいだ。
基坂 下から&上から
旧イギリス領事館&旧函館公会堂
10.函館洋館めぐりA
公会堂から東に歩くこと数分で、ハリストス正教会、カトリック元町教会、聖ヨハネ教会に到着。
ハリストス正教会と元町教会には内部を見学することもできる。日本国内にある教会は、欧州のそれと違って木造建築のため、
石造りの教会独特のピンと張り詰めた空気こそ感じないものの、どことなく荘厳な雰囲気を感じてしまうから不思議だ。
教会群の後は、坂道を下りてベイエリアへ移動。立ち並ぶ金森倉庫はいずれも内部が改装され、レストランや売店になっている。
外観以外は特に見るべき物もなく、一休みして立待岬方面へ移動する。しかし見るべき物はなくても、暖房の効いた建物があるだけで
なんとありがたいことか。何度も書いているかもしれないが、寒さがいかに体力を奪うかをまざまざと実感する旅になった。
ハリストス正教会、カトリック元町教会、聖ヨハネ教会、金森倉庫
11.ベイエリア〜立待岬
金森倉庫群を抜け、再び十字街から路面電車に揺られること数駅。岬に向かう前に函館公園に立ち寄る。
石川啄木の歌碑があるということで寄ってみたが、どこにでもありそうな普通の公園にぽつんと忘れ去られたように石碑が立っているだけで、
残念ながら刻印された字もよく読み取れなかった。園内には人影もなく、小動物園では鹿が寒さに耐えるかのように寄り添う姿が物寂しさを
一層助長していた。
公園から岬まで、歩いて2kmもなさそうだったので、住宅街を抜け歩いていくことにした。
途中「谷地頭温泉」という市民温泉もあったが、この寒さでは湯冷めすること間違いなし。次回にとっておくことにした。
昼を過ぎてから日差しもなくなってしまい、気温も下がってきたらしく、まだ2時3時だというのに歩くのがつらい。
体温の低下に加え空気の冷たさが、呼吸器系が決して強くない私にはとてもこたえる。「立待岬まで700m」という看板を目の前にして、
その700mを往復するのがあまりにおっくうになってしまい、引き返すことにした。次回は気候のいい時にでもゆっくり歩きたいものだ。
谷地頭の電車駅まで戻り、駅前の売店で一休み。「温かい牛乳一杯100円」の文字を見て迷わず店のおばちゃんにお願いする。
店内のストーブで温められた牛乳を紙コップに入れるだけの素朴なものだが、気さくなおばちゃんとの会話と合わせ、
冷え切った体には何よりうれしい暖かさだった。
路面電車で再び戻る途中、昼食を取っていないことに気付き、再び十字街で下車。あちこちに宣伝のあった「マメさんラーメン」を食べに行く。
塩味スープに海草を練りこんだ麺のあっさりラーメンで再び暖まって、散策の仕上げとした。
鹿も寒そう、立待岬まであと・・・、心から暖まった牛乳、マメさんラーメン
12.帰路
再びホテルに戻り、風邪でお疲れ気味のA君と合流。隣の土産物屋で地ビールと熊肉の缶詰、六花亭のバターサンドを購入し、
直通バスで空港に向かった。さすがに日曜日の夕方の便の利用者は多いらしく、バスも満席。
19時25分発の名古屋行きも搭乗率は割合高く、往路と同じシップのA321は8割方埋まっていた。
ドリンクサービスの後にフライトレコードカードをお願いすると、A321とポケモンジェットのハガキを添えてくださり、
旅の最後にちょっとうれしい心遣いを頂き、気持ちよく旅を終わることができた。
今回の旅は、一番寒い時期ということもあり行動も限られてしまったが、その土地の厳しさを知ることができ、貴重な経験となった。
温泉や立待岬、その他有名なお店等、今回行けなかったスポットもあるため、是非再び訪れてみたいと思う。
往復利用したA321